慰安婦問題と北朝鮮の関係

慰安婦問題を追っている人には、なかば常識化している慰安婦問題と北朝鮮の密接な関係だが、あの国の性質上はっきりとした情報が出にくい面があった。また同時に、韓国内で慰安婦問題に絶大な影響力をもっていた挺対協(現・正義連)は、完全に聖域化して親北の言動をほぼ批判されない状態であった。しかし2020年5月の元慰安婦(?)の李容洙氏からの批判をきっかけに、組織的な会計不正とともに北朝鮮との関係が報道されるようになる。

 

朝鮮日報は2020年5月21日に、挺対協元代表の尹美香氏と夫の金三石氏が脱北者北朝鮮に戻るよう懐柔していたことを報道。金三石氏は「将軍様」という単語を頻繁に使い、北朝鮮の革命歌謡を歌ったとしている。なお、金三石氏は1993年に親北団体の韓統連から工作資金を受け取ったなどとして、韓国で国家保安法違反の有罪判決を受けている。


韓国での挺対協批判の高まりと平行し、日本でも朴斗鎮氏らの指摘で慰安婦問題と北朝鮮の関係が再注目されるようになる。これまでは1991年の「アジアの平和と女性の役割シンポジウム」で社会党北朝鮮・韓国との連携が始まるとされることが多かったが、1987年8月の日本社会党清水澄子と韓国女性運動家李愚貞の密談によって慰安婦問題が始まることが明らかになってきた。

 

清水澄子は、朝鮮総連機関紙「朝鮮新報」2002年6月6日「李愚貞さんを悼(いた)む」でこのように書いている。

2人はKCIAの目を警戒して長崎湾の船上で話しあった。彼女は「金日成主席のこと、北の同胞のことを聞かせて!」「日本で北の同胞、呂燕九さんと会える場を作って。あなたならできる」と私の手を握った

 

密談の結果「アジアの平和と女性の役割シンポジウム」が実現し、挺対協の南北共闘路線に繋がっていく。1992年には平壌で第3回「アジアの平和と女性の役割シンポジウム」が開催され、韓国代表団と社会党金日成と面会している。社会党朝鮮労働党との関係はここで述べるまでもない友党関係である。元々韓国に批判的だった社会党が、1990年から熱心に国会で慰安婦問題を取り上げてきた裏には、こうした事情があったのだろう。

 

清水澄子は2011年9月「日朝ピョンヤン宣言9周年記念シンポジウム」で「わたしは金日成主席と直接お話できたことで、その思想や考え方をわたし自身の中でうけとめることができ、わたしのライフスタイルや考え方の基本となりました。」と述べるくらい、なかなかの香ばしさである。

 


このように、挺対協と社会党(+朝日新聞)が慰安婦問題を主導してきたことを考慮すると、北朝鮮の存在を抜きに慰安婦問題は語れないのである。韓国治安当局も挺対協を「北朝鮮工作機関と連携し、北朝鮮の利益を代弁する親北団体」として監視している。2013年9月に挺対協元代表の尹美香氏は、北朝鮮へのスパイ容疑で逮捕されたブノワ・ケネディー氏と接触したという話もある。挺対協事務方トップの梁路子氏は、親北として反国家団体指定されている韓統連系の韓青出身である。

 

1987年6月の韓国民主化宣言直後に社会党北朝鮮・韓国の連携が模索されていることから、前出の朴斗鎮氏は「日韓分断のために組織された挺対協」としている。

 

北朝鮮スパイ防止法のない日本を1960年代から対南迂回浸透工作の基地として活用していると言われる。挺対協初代代表となる尹貞玉が1980年に沖縄で調査した元慰安婦裵奉奇も朝鮮総連関係者が支援者であった。

 

また、2000年のVAWW-NETジャパン主催による「女性国際戦犯法廷」では検事として関わった北朝鮮代表者2名が工作員とされている。2005年の「「女性国際戦犯法廷」に対する冒とくと誹謗中傷を許さない日・朝女性の緊急集会」では連絡先が朝鮮総連になっており、主催も朝鮮総連だったのではないかと推測されている。

 


もちろん慰安婦問題のすべてが北朝鮮の手の平の上だとは思わない。韓国の反日感情、反体制がかっこいいと考えている日本の左寄りの方々、女性運動への使命感で乗せられがちな方々などは、少し背を押すだけで走り回ってくれるのだろう。

 

慰安婦問題初期に関わった舘雅子氏は、日本からの反日的なルートが3つあったと言う。「吉田清治」「朝日新聞」「日本キリスト教婦人矯風会をベースにした朝日新聞松井やより福島瑞穂」である。3つすべてに朝日新聞が関わっているのは流石である。

 

吉田清治は「慰安婦狩り」という虚偽証言で慰安婦問題を作り出した元凶である。1982年9月から朝日新聞吉田清治慰安婦狩りの記事が出る。北朝鮮との関係をみると1983年5月19日に吉田清治は、在日本大韓民国婦人会中央本部に宛てた陳情書で、「強制連行謝罪碑」を平壌にも建立することと、南北分断家族の手紙を平壌に配達するため、金正日夫人宛の手紙を託して欲しいなどと書いている。ただの民間人からなぜこのような外交問題に関わる発想が出てくるのか謎である。

 

朝日新聞は1991年以降大々的な慰安婦キャンペーンで虚偽報道を連発し、「従軍慰安婦」「強制連行」の虚偽を広めることで日韓関係を修復不能なほど破壊した。朝日新聞松井やよりは「VAWW-NETジャパン」初代代表である。社会党福島瑞穂氏についてはご存じの通りであるが、1992年8月「アジア連帯会議」では松井・福島が仕切り、日本を擁護する発言が出ると抑え込んだという。

 

矯風会については、挺対協初代代表尹貞玉と縁の深い高橋喜久江の名前も出ている。東海林路得子が「VAWW-NETジャパン」の共同代表を務め、挺対協の「水曜デモ」への支援を行うなど、矯風会慰安婦問題へ深く関与している。

 


慰安婦問題は女性運動への共鳴度が高く、しかも性質上反論が非常に難しいテーマである。この部分が北朝鮮と韓国にとって手放せないカードであるのは間違いない。また、南北で対立しがちな諸問題に対して慰安婦問題では反日で団結しやすいという面もあった。舘雅子氏が指摘するように初期の慰安婦問題は反男性運動から反体制運動へ、そして反日運動へと変化していった。


日韓問題は多種多様で韓国からの非難は日常茶飯事ではあるが、慰安婦問題だけが突出し世界的な外交問題に発展している。日本の歴代の首相が河野談話の継承を問われ続けるという状況も異常事態である。
日韓対立に基本的には中立のアメリカが仲裁に乗り出したのが2015年の日韓合意であるが、それを締結直後から否定したのが挺対協である。彼らにとって慰安婦問題は決して終わらせてはならない問題なのだろう。

 

韓国で挺対協改め正義連への不正報道が出始めた2020年5月、北朝鮮対外宣伝メディアは「慰安婦被害者に対する日本の謝罪および賠償を阻もうとする土着倭寇の謀略ねつ造劇」と報道するなど、相変わらず慰安婦問題での重要な局面では顔を出す。

 


あいちトリエンナーレ2019で話題になった「表現の不自由展・その後」には、挺対協関連組織「希望のたね」元理事で週刊金曜日(社長は植村隆氏)編集者の岡本有佳氏が実行委員として関わっている。その他に、北朝鮮工作員が関与した「女性国際戦犯法廷」(VAWW-NETジャパン主催)を扱ったNHKの番組「問われる戦時性暴力」プロデューサーの永田浩三氏も実行委員である。「表現の不自由展かんさい」のプレイベントでは、「希望のたね」元理事でVAWW RAC共同代表でもある金富子氏が講師になっている。

 

どうもこの界隈は、北朝鮮と少なからぬ縁のある挺対協とVAWW-NETジャパンを軸に人脈が広がっているようだ。

 

 

参考

https://megalodon.jp/2014-0524-1750-39/sankei.jp.msn.com/world/news/140524/kor14052409570006-n1.htm
2014.5.24 産経新聞
 慰安婦問題で南北団体が顔を合わせたのは7年ぶり。韓国政府は北朝鮮側との接触を厳しく制限してきた。なかでも挺対協は「北朝鮮工作機関と連携し、北朝鮮の利益を代弁する親北団体」として、韓国治安当局が監視してきた。

 尹は今月20日、ソウルで産経新聞など日本人記者団の取材に対し、「人道主義的な『親北』だと思ってもらえばいい」と北朝鮮との“共闘”を隠そうともしなかった。


https://special.sankei.com/a/international/article/20200530/0001.html
2020.5.30 産経新聞
欧州で北スパイと連携 尹美香氏を取り巻く「従北人脈」


https://blogos.com/article/460473/
2020.05.27 コリア国際研究所所長 朴斗鎮
韓国激震、支援団体真の目的
挺対協結成の原点は、1987年8月の広島・長崎における「原水爆禁止世界大会」にある。1987年6月に韓国での民主化宣言が出された直後、「挺対協」の生みの親である「韓国教会女性連合会」会長の故李愚貞(イ・ウジョン)氏が、そこに参加し、日本社会党清水澄子氏に北朝鮮と連携を提案したことから始まる。

そしてこの名称にした理由については、他の回顧文で「わたしたちの目的(注:日韓左派と北朝鮮との連携の目的)をわからなくできるから」と明かしている。

 

https://www.sankei.com/article/20180213-EA5IDG6VXFMDPC4MIR7WYBSAYE/
2018.02.13 産経新聞
 文書は吉田氏が在日本大韓民国民団(民団)婦人会中央本部に「謝罪碑」建立などの支援を求めるため提出した同年5月19日付の陳情書。吉田氏はまず、韓国国民への「謝罪碑」建立の目的について「戦後生まれの日本人に父祖の日本人が犯した歴史的な罪科を反省させるため」とした。

 続いて「平壌往復旅行」をしたい意向を表明した。理由について「(往来が途絶えている)根本的な原因は日韓併合であって、原状復帰の責任は日本人にあります」と説明。その上で、88年のソウル五輪を控え「オリンピックに参加する(北朝鮮)選手団の通路でありましょうこの道を通って、ソウル・平壌間を往復して『謝罪旅行』を行う事は私の悲願であります」と強調した。

吉田氏はこの「謝罪旅行」において「強制連行謝罪碑」を平壌にも建立したいと明かした。さらに、南北分断家族の手紙も平壌に「配達したい」との願望も盛り込んだ。

 

https://news.goo.ne.jp/article/jbpress/world/jbpress-64290.html
2021.3.1
慰安婦」が北による日米韓分断工作だと考える理由

 

https://www.nicovideo.jp/watch/so21420813
2013.07.23
日本文化チャンネル桜東京裁判から従軍慰安婦拉致問題まで~歴史の目撃者が語る真実Part2」
(Hazama Hisatake氏文字起こし↓)
http://ianfukangaeru.blogspot.com/2014/06/blog-post_21.html
舘雅子 日本人運動家が韓国に反日を植えつけた

そういう韓国に対してね、反日的な運動したルートが三つあったと思うんですね。で、一つは、あのぉ吉田清治というね、自分が実は申し訳ないけど強制連行しましたって嘘を言って、ええ、詐欺師がソウルまで行って土下座して謝ってんですよね。だから向こうが信用しちゃってる部分があるのね。それが浸透して、嘘だってことをマスコミが言いませんからね。それが一つのルートで、もう一つは朝日新聞の捏造記事やなんかがあって、これもまた全然違うことを書いてね。日本がいかに悪かったかってことを書いてる。それが二つ目。それから三つ目がこの大会の、婦人矯風会をベースにした、朝日新聞松井やよりさん、それから福島みずほさんたちが一緒になったこの会、これはやっぱり相当強力に反日的な思想を韓国に植えつけたと思いますね。

(写真を見ながら)一番こっちの人が矯風会の会長さんで、非常に強い方で、もう一筋に、慰安婦に申し訳なかったってことを言ってる方ですね。であの、セックススレイブ(性奴隷)っていう言葉、最近よく言いますけど、私がいる頃から、その言葉は使ってましたね。・・・やっと今ね、そんなこと言ってんで、なんだずいぶん古いこと言ってんなと思いました。


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21570.html
2015.08.09 ハンギョレ
1972年5月、沖縄が日本に返還された後に総連は1972年8月15日に沖縄で行われた朝鮮人強制動員の真相を糾明するための「朝鮮人強制連行真相調査団」(以下、調査団)を作ることになる。 また、一カ月後の9月6日には、キム氏夫妻などを中心に沖縄総連支部も結成された。 その年の10月に調査団が発表したA4用紙60頁に及ぶ『真相調査報告書』によれば、朝鮮人慰安婦と関連して「10月10日の空襲当時、日本軍の某部隊の士気鼓舞のために慰問隊員として送られた。戦争に翻弄された彼女たちは言葉も通じず地理も分からない戦場をさすらうだけだった」という記述を載せている。 キム氏夫妻は「当時はペさんのような生存慰安婦には直接会ったことはなかったが、沖縄人の様々な証言と記録を通じて朝鮮人慰安婦の実体は確認していた」と話した。