韓国はなぜ約束を破るのか?

本日2019年8月23日、韓国がGSOMIAの破棄を日本に通知した。韓国を取り巻く軍事状況、政治状況、経済状況、どれをとってもGSOMIA延長の一択しかないのだが、さすが韓国と言わざるを得ない。世界の予想を覆す、斜め上の決断である。日韓関係で久しぶりに度肝を抜かれた。

 

安倍総理は「国と国との約束を守るように求めていきたい」とコメント。厳密に言うとこの件は「破棄の意思表示によって自動延長しなくなる」ものなので、約束破りとは言えないのかもしれないが、韓国の典型的な約束破りの特徴が出ているので、このまま見ていこう。

 

韓国は、正義が自分にあり、悪いのは日本という、いつもの構図を持ち出している。GSOMIAを破棄した理由は、日本が「ホワイト国から除外」した為であるという。日本国内の輸出管理強化が、どのように軍事協定に関わるのか意味不明であるが、とにかく悪いのは日本らしい。

 

前日の22日には韓国大統領府関係者が「GSOMIA終了の決定を米国が理解している」と述べていた。アメリカも正義の韓国を支持しているという訳だ。この件は、米政府から非公式にではあるが「不愉快である。事実ではない」と即座に否定された。米国務省はGSOMIAの延長をするよう「繰り返し伝えてきた」のが事実である。

 

韓国は、あるべき理想の姿を実現するためなら、現実の方が間違っていると考える国だ。正義のために約束を破ることなど至極当然の行いである。例えば「慰安婦合意の破棄」、遡及法である「親日財産帰属法」、「徴用工(?)判決」「積弊清算」など、近代法を無視した、いわゆる「国民情緒法」は韓国にとっての正義が実現された結果なのだ。

 

主観的な正義なので、状況が変われば立場も日々変わる。前政権の決めたことなど、真っ先に破棄すべき事柄だ。

 

さらに、文大統領が「二度と日本に負けない」(8月2日)と言うように、韓国が勝ち負けにこだわっていることも重要な点だ。韓国には激しい上下関係があり、目上の人間が横柄に振る舞い、ルールを破ることが許容されている。典型例が「大韓航空ナッツ・リターン」事件だ。ナッツの出し方で揉め、旅客機を搭乗ゲートに引き返させた、というとんでもない話だ。

 

日本との取り決めを破ることが、日本よりも上の立場になる、という精神勝利になるようだ。GSOMIAを破棄することが、韓国の立場を高め、正義を実現する。ちょっと何を言っているのか分からなくなるが、結局どちらも道徳的な上下関係に帰結する。複雑な国際関係を、単純な善悪や勝ち負けで考えてしまうところが韓国の不幸だろう。

 

少なくとも韓国の「国家的自尊心」は守ることができたようだ。引き替えにアメリカを失望させ、感情的に軍事協定を破棄したことを世界中に知らしめてしまったのだが。

 

 

参考


https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190823004500882?section=japan-relationship/index
聯合ニュース 2019.08.23
金氏は「日本の対応は単純な拒否を超え、『国家的自尊心』を喪失させるほど無視した」とした上で「外交的な礼を欠いた」と指摘。GSOMIA終了決定の背景にこのような日本の態度があったと伝えた。


ただGSOMIA終了の決定を米国が理解しているかについては、「緊密に協議してきた」と述べるにとどめた。
米政府筋は、GSOMIA終了の決定を米国が理解しているとする前日の青瓦台関係者の説明を否定し、これに関して韓国に抗議したと明らかにした。 


http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34173.html
ハンギョレ  2019.08.23
「GSOMIAを維持するものの情報交流はしない」という折衷案が詰めの段階で排除されたことに関連し、大統領府関係者は「状況が厳しい時こそ原則が重要だ。名分も、実利も重要で、なにより国民の自尊心を守ることが大切だった」と述べた。政界の一部では、今回の決定を「チョ・グク法務部長官候補者を守るため」という批判の声があがっていることについては、「チョ候補者の聴聞会とは何の関係もない。国益だけを考えて決定した」と強調した。

 

(追記2019/8/25)

https://sincereleeblog.com/2019/08/24/韓国紙「国民が強くなったから条約を破棄できる/

今、韓国国民が政府を動かし、国際条約や協定を次々と廃棄・終了させることは、韓国民が強くなっていることを示す現象である。米国と日本の圧力にも動揺しない程度に、韓国国民の大部分が固く団結していることを反映している現象である。

 

 

nikkan.hateblo.jp